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名古屋高等裁判所 平成8年(ネ)687号 判決

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一  当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を次のとおり変更する。

2  被控訴人は、控訴人に対し、一六〇〇万円及びこれに対する平成七年一月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

4  右2につき仮執行宣言

二  被控訴人

主文同旨

第二  当事者の主張

当事者双方の主張は、次のとおり付加及び訂正するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第二 当事者の主張」の記載と同一であるから、これを引用する。

1  原判決四枚目裏八行目の「訴え」の次に、「(名古屋地方裁判所平成二年(ワ)第一一八号事件)」を付加し、同行目の「原」から同五枚目表一行目までを次のように訂正する。

「控訴人は、平成七年一月二〇日、ジャックスとの間で、控訴人がジャックスに対し早川と共同してジャックスに加えた損害につき二〇〇〇万円の支払義務のあることを認めた上、同日右金員を支払う一方、ジャックスは控訴人に対するその余の請求を放棄する旨の裁判上の和解をした。被控訴人は右和解に当事者又は利害関係人として参加していないが、実質上、右時点でジャックスから早川の使用者である被控訴人に対する請求も完全に消滅している。したがって、控訴人と被控訴人のジャックスに対する損害賠償債務は、控訴人の二〇〇〇万円の支払によって完済されたものであるから、被控訴人は、控訴人に対し、二〇〇〇万円に対する過失の内部分担割合(早川八、控訴人二)を乗じた一六〇〇万円及びこれに対する平成七年一月二一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務のあることは明らかである。」

2  同五枚目表三行目の「二〇〇〇万円」を「一六〇〇万円」と訂正する。

第三  証拠(省略)

理由

一  当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する請求は原審の認容する限度で理由があり、その余は失当であると判断するものであるが、その理由は次のとおり付加するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第三 当裁判所の判断」記載を引用する。

1  原判決九枚目裏二行目の「に提起」の前に「及び被控訴人」を、同三行目の「同様の」の次に「事実関係に基づく」を各付加する。

2  同一〇枚目表四行目の「第一三号証、」の次に「第一六号証、」を、同六行目の「結果」の次に「並びに弁論の全趣旨」を各付加する。

3  同一三枚目裏二行目の「ず、」の次に「新美(早川の旧姓)あるいはサニー新美と」を付加する。

4  同一六枚目裏八行目の「ある。」の次に「なお、控訴人は、控訴人とジャックス間の前記裁判上の和解において、ジャックスが控訴人に対し二〇〇〇万円を超えた部分の請求を放棄しているが、これはジャックスと控訴人間の損害賠償関係のみならずジャックスと被控訴人間の損害賠償関係も控訴人がジャックスに支払った二〇〇〇万円ですべて解決したものであるとして、右金額を基礎に控訴人と被控訴人間の求償関係を定めるべきであると主張する。しかし、控訴人と被控訴人のジャックスに対する責任は、各自の立場に応じて別個に生じたもので、ただ同一損害の填補を目的とする限度で関連しているにすぎず、右限度以上の関連性はない(不真正連帯)のであるから、ジャックスが控訴人に対し二〇〇〇万円を超える損害賠償請求債権を放棄(ないし免除)したとしても、それが債権を満足させるものでない以上、放棄した部分を除いた現実の支払額のみを対象として求償金額の範囲を定めるのは相当ではなく、控訴人の右主張は失当である。」を付加する。

二  よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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